[監修者情報]
この記事の監修者
山名 裕子 (やまな ゆうこ)
臨床心理士 / 公認心理師
都内の心療内科にて、臨床心理士として勤務。恋愛や人間関係、自己肯定感の問題を中心に、数多くのカウンセリングを担当。
メディアでの監修や著書も多数。一人ひとりの心に寄り添い、その人らしい幸せを見つけるサポートを信条としている。
この記事は、恋愛心理の専門家である山名先生の監修のもと作成されています。
恋愛で「重い」と言われてしまうのは、本当に辛い経験ですよね。自分を責めて、どうしたらいいか分からなくなっていませんか?
実は「ヤンデレ」と「メンヘラ」の最大の違いは、愛情が「相手」に向かうか「自分」に向かうか、という点にあります。
この記事は、単にあなたを分類するためのものではありません。臨床心理士の監修のもと、診断を通じてあなたの「不安の正体」を解き明かし、自己理解を深めて、次の恋愛で同じ失敗を繰り返さないための具体的なヒントをお伝えします。
読み終える頃には、自分の心の癖を客観視でき、明日から何をすべきかが明確になっているはずです。
目次
「私のせいなのかな…」その悩み、あなただけじゃありません
私のカウンセリングルームには、「彼に重いと言われないためには、どうすればいいですか?」というご相談が、本当に多く寄せられます。LINEの返信が少しでも遅いと、スマホを何度も確認してしまったり。
嫌われたくない一心で、自分の意見を言えずに我慢しすぎて、ある日突然、感情が爆発してしまったり。
もし、あなたがそんな経験をして「私のせいなのかな…」と自分を責めているとしたら、まず一番にお伝えしたいことがあります。
その悩みは、決してあなた一人だけのものではありません。
愛情が深いからこそ、相手を失うことが怖くなり、不安になってしまう。その心の動きは、とても自然なものです。
大切なのは、その不安の正体を正しく理解し、自分自身と上手に付き合っていく方法を知ること。この記事で、その第一歩を一緒に踏み出しましょう。
本質的な違いは「愛情のベクトル」。ヤンデレとメンヘラ、心のメカニズム
さて、本題に入りましょう。「ヤンデレ」と「メンヘラ」は、しばしば混同されがちですが、心理学的な視点から見ると、その心のメカニズムには明確な違いがあります。ヤンデレとメンヘラの本質的な違いは、その愛情や関心のベクトル(向き)が『相手中心』なのか『自分中心』なのかという点にあります。
- ヤンデレとは
「病み」と「デレデレ」を組み合わせた言葉で、相手を好きすぎるあまり、その愛情が極端な形で現れる傾向を指します。愛情のベクトルは常に【相手】に向いており、「あなたのためなら何でもする」という献身性が、時として過剰な束縛や監視といった行動に繋がることがあります。 - メンヘラとは
「メンタルヘルス」が語源とされ、心の不安定さを抱え、他者からの愛情や承認を強く求める傾向を指します。愛情のベクトルは常に【自分】に向いており、「もっと私を見てほしい」「私を愛してほしい」という強い承認欲求が、相手の気を引くための行動(試し行動など)に繋がることがあります。
この二つの違いを、より直感的に理解するために、以下の図解を用意しました。
10問でわかる【ヤンデレorメンヘラ傾向】自己理解診断
ここまでの解説で、二つのタイプの違いが少し見えてきたでしょうか。それでは、ご自身の心の癖を客観的に知るための診断テストをやってみましょう。
【重要】 この診断は、医学的な診断ではありません。あくまで、ご自身の恋愛における思考や行動の傾向を知り、自己理解を深めるためのヒントとしてご活用ください。
以下の10個の質問に対し、最も当てはまるものを「はい」「いいえ」で直感的にお答えください。
【診断スタート】
- 恋人のSNS(フォロー、いいね等)は、毎日チェックしてしまう。
- 恋人からの返信が1時間ないと、何かあったのかとひどく不安になる。
- 恋人のためなら、自分の予定をキャンセルすることも厭わない。
- 「私と仕事、どっちが大事なの?」と聞いたことがある、または聞きたいと思う。
- 恋人が自分以外の異性と楽しそうに話していると、強い嫉妬を感じる。
- 恋人に「好き」と言葉で伝えてもらえないと、愛されていないと感じる。
- ケンカをすると、相手を試すために「もう別れる」と言ってしまうことがある。
- 自分の全てを理解してほしいと強く願う。
- 恋人と会えない休日は、何もする気が起きず、ひどく落ち込んでしまう。
- 自分のダメな部分を見せることで、相手の愛情を確かめようとすることがある。
【診断結果】
「はい」と答えた数を数えてください。
- 奇数(1, 3, 5, 7, 9)の質問: ヤンデレ的傾向(相手への過干渉・一体化願望)を示します。
- 偶数(2, 4, 6, 8, 10)の質問: メンヘラ的傾向(自分への承認欲求・不安)を示します。
この結果は、あなたにレッテルを貼るものではありません。「自分は相手の行動に一喜一憂しやすいんだな」「もっと自分に注目してほしい、という気持ちが強いのかもしれない」といったように、ご自身の心の癖に気づくきっかけにしてください。
診断結果を「次の一歩」に変えるために。自己肯定感を育てる3つの習慣
診断結果がどうであれ、大切なのはここからです。ヤンデレやメンヘラの傾向の根本的な原因として、低い自己肯定感が関係しているケースは少なくありません。
「ありのままの自分では愛されない」という無意識の思い込みが、相手への過剰な執着(ヤンデレ)や、自分への関心を求める行動(メンヘラ)に繋がってしまうのです。
でも、大丈夫。心の癖は、日々の小さな習慣で少しずつ変えていけます。ここでは、診断結果をポジティブな「次の一歩」に変えるための、自己肯定感を育てる3つの習慣をご紹介します。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 恋愛以外の「自分の世界」を持つことが、結果的に恋愛を安定させます。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、恋愛が生活の100%になると、相手の些細な言動で自分の価値が揺らいでしまうからです。
週に1時間でも良いので、純粋に自分のためだけの時間を作る。この知見が、あなたの心の安定の助けになれば幸いです。
習慣1: 自分の感情を「悪者」にせず、ノートに書き出す
不安や嫉妬を感じた時、「こんなこと思っちゃダメだ」と蓋をしていませんか? まずは、どんな感情も否定せず、そのままノートに書き出してみましょう。
「LINEの返信がなくて、寂しい」「他の子と話していて、悲しかった」と書き出すだけで、感情を客観視でき、少し冷静になれます。これは、自分の感情を自分で認めてあげる、自己肯定の第一歩です。
習慣2: 小さな「できた」を記録する「できたこと日記」
私たちは、できなかったことに目を向けがちです。今日から、どんなに些細なことでも良いので「できたこと」を3つ、寝る前に書き出してみましょう。
「朝、時間通りに起きられた」「今日の課題を終わらせた」「美味しいコーヒーを淹れられた」。これを続けることで、脳が「自分はできる人間だ」と認識するようになり、自信が育っていきます。
習慣3: 恋愛以外の「好き」を大切にする時間を作る
恋愛も大切ですが、あなたの人生は恋愛だけではありません。好きだった音楽を聴く、読みたかった本を読む、友人と美味しいものを食べに行く。
どんなことでも構いません。恋愛から少し離れて、自分が「楽しい」「心地よい」と感じる時間を持つことで、心に余裕が生まれます。その余裕が、結果的に相手への過剰な期待や不安を和らげてくれるのです。
よくあるご質問 (FAQ)
Q1. これって、境界性パーソナリティ障害とは違うの?
A1. ヤンデレやメンヘラは、あくまで俗語であり、性格の傾向を指す言葉です。一方、境界性パーソナリティ障害は、対人関係、自己像、感情の不安定性などを特徴とする、専門家による診断が必要な精神疾患の一つです。
もし、感情の起伏が激しく、日常生活に深刻な支障が出ている場合は、一人で抱え込まず、心療内科やカウンセリングなどの専門機関に相談することをお勧めします。
Q2. 相手がヤンデレ/メンヘラ気質の場合はどうすれば?
A2. まず、相手の言動に振り回されず、ご自身の心の健康を第一に考えてください。相手の要求を全て受け入れるのではなく、「できること」と「できないこと」の境界線を明確に伝えることが大切です。もし関係性に深く悩んでいる場合は、お二人だけでなく、第三者(カウンセラーなど)に相談することも有効な選択肢です。
Q3. 愛着スタイルと関係ありますか?
A3. はい、深く関係している可能性があります。愛着スタイル(アタッチメントスタイル)とは、幼少期の親子関係などを通じて形成される、対人関係の基本的なパターンのことです。
特に、親から十分な愛情を得られなかったと感じることで形成されやすい「不安型」の愛着スタイルは、相手に見捨てられることへの強い不安を抱きやすく、ヤンデレやメンヘラの傾向と関連が見られることがあります。
まとめ:自分を理解することから、新しい恋愛は始まる
この記事では、ヤンデレとメンヘラの本質的な違いから、自己理解を深めるための診断、そして次の恋愛で失敗しないための具体的な習慣までをお伝えしてきました。
大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- ヤンデレとメンヘラの違いは「愛情のベクトル」にあり、どちらが良い・悪いというものではありません。
- その行動の裏には、「自己肯定感の低さ」や「見捨てられ不安」といった、誰の心にもある感情が隠れていることが多いです。
- 大切なのは、診断結果に一喜一憂することなく、自分の心の癖を客観的に理解し、自分を大切にする習慣を始めることです。
あなたは、自分の力で変わることができます。自分を大切にすることから、新しい恋愛は始まります。
まずは今日、あなたが「自分のためにできたこと」を一つだけ、手帳に書いてみませんか?それが、大きな一歩になります。
[参考文献リスト]
- ananweb, 「【専門家監修】メンヘラとは?特徴や原因、なりやすい人の共通点」
- CanCam.jp, 「ヤンデレとメンヘラの違いとは?特徴や見分け方を解説」
- 山名裕子 公式サイト, 「恋愛・結婚」
[著者情報]
この記事を書いた人
[ヒロ]編集部
私たちは、読者の皆様の毎日が少しでも豊かになるような、信頼できる情報をお届けすることを目指しています。
この記事は、読者の皆様の恋愛に関する深いお悩みに寄り添いたいという思いから、臨床心理士の山名裕子先生に監修いただき、制作しました。


