[監修者情報]
この記事の監修者
森川 聡美 (もりかわ さとみ)
臨床心理士 / 公認心理師働く女性のメンタルヘルスを専門とし、都内カウンセリングルームにて年間500件以上の相談を受ける。特に、成人期の愛着問題や自己肯定感の低さに起因する恋愛の悩みに関するカウンセリングに定評がある。
この記事は、働く女性のメンタルヘルスを専門とする森川先生の監修のもと作成されています。
職場では「頼れる人」、でも恋人の前では些細なことで不安になる…。そんな「二面性」に、一人で苦しんでいませんか?
そのギャップの正体は、周りからの期待に応えようと頑張るあなただからこそ抱えやすい「隠れメンヘラ」傾向かもしれません。
この記事は、単にあなたを診断するだけではありません。なぜ「しっかり者」のあなたほど恋愛で不安になるのか、その心の仕組みを解き明かし、自分を責めるのをやめ、ありのままで愛されるための一歩を、臨床心理士と共に考えます。
読み終える頃には、あなたの二面性の謎が解け、自分を偽らずに安定した恋愛を楽しむための具体的なヒントが見つかります。
目次
あなたの悩みは「わがまま」じゃない。その二面性が生まれる理由
職場では後輩の面倒を見たり、友人の相談に乗ったりと、いつも「しっかり者」でいるあなた。でも、恋人にだけ、普段は見せない面倒な自分を見せてしまい、後から自己嫌悪に陥る…。カウンセリングの現場では、そうしたお悩みを抱えた女性に数多く出会います。
私の元に来られる相談者の方から、「どうすれば、この不安な自分を消せますか?」と尋ねられることがあります。そうですよね、消してしまいたいほど、その自分に苦しんでいるんですよね。でも、その「不安なあなた」は、決して悪い存在ではないんですよ。
むしろ、あなたが周りの期待に応えようと、普段から一生懸命頑張っているからこそ、心許せる人の前で、隠していた本当の感情が顔を出すのです。その悩みは、あなたの「わがまま」ではなく、むしろ優しさや責任感の強さの裏返しでもあるのです。
15問でわかる【隠れメンヘラ傾向】セルフチェック診断
それでは、ご自身の心の傾向を客観的に知るために、簡単なセルフチェックをしてみましょう。
【重要】 この診断は、医学的な診断ではありません。ご自身の心の傾向を知り、自己理解を深めるための「鏡」のようなものとして、気軽な気持ちで試してみてください。
以下の質問について、「A:社会的な場面でのあなた」と「B:恋人など、ごく親しい人の前でのあなた」を思い浮かべながら、「はい」「いいえ」で直感的に答えてみてください。
【診断スタート】
A:社会的な自分について
- 人から「しっかりしている」「頼りになる」と言われることが多い。
- 自分の弱みや失敗を、他人に見せることに強い抵抗がある。
- 周りの期待に応えなければならないと、常に感じている。
- 物事は完璧にこなさないと気が済まない。
- 人に頼るよりも、自分で何とかしようとすることが多い。
- 感情的になるのは「みっともない」ことだと感じる。
- SNSでは、充実している自分を演出しがちだ。
B:恋愛における自分について
- 恋人からの連絡が少しでも遅いと、嫌われたのではないかと不安になる。
- 「好き」という言葉や態度で、常に愛情を確認したくなる。
- 恋人のスケジュールをすべて把握していないと落ち着かない。
- 些細なことで「もう別れる」と言って、相手の反応を試したことがある。
- 恋人に尽くしすぎて、自分のことが後回しになりがちだ。
- 恋人がいないと、自分には価値がないように感じてしまうことがある。
- 恋人にだけは、自分のすべてを受け入れてほしいと強く願う。
- 普段抑えている感情が、恋人の前でだけ爆発してしまうことがある。
【診断結果の見方】
この診断では、「はい」の数そのものよりも、AとBの「はい」の数のギャップに注目します。
- Aの「はい」が多く、Bの「はい」も多い方:
社会的な自分をしっかり演じている一方で、恋愛では強い不安や依存傾向が現れる。そのギャップが大きいほど、「隠れメンヘラ」傾向が強いかもしれません。あなたは、外では頑張っている分、心許せる相手にだけ、心のバランスを取ろうとしている状態と言えます。
この結果は、あなたを分類するためのものではありません。「なるほど、私にはこういう二面性があるんだな」と、ご自身の心の仕組みを理解するためのヒントとしてください。
なぜ恋愛でだけ「心の鎧」を脱いでしまうのか?【心理学で解説】
診断でご自身の二面性に気づいた方もいるかもしれません。では、なぜ職場や友人の前では完璧に振る舞えるのに、恋愛でだけ「もう一人の自分」が出てきてしまうのでしょうか。
不安定な愛着スタイルが、特定の親密な関係においてのみ不安が表出する「二面性」の根本的な原因となることがあります。
心理学には「愛着スタイル(アタッチメントスタイル)」という概念があります。これは、幼少期の経験から形成される、対人関係の基本的なパターンのことです。
職場や友人関係は、ある意味「戦場」のようなもの。私たちは無意識に「しっかり者の自分」「有能な自分」という『心の鎧』を着て、自分を守りながら戦っています。
しかし、恋愛は本来、心安らぐ「安全基地」であってほしい場所。だからこそ、恋人の前ではその鎧を脱ぎ、ありのままの無防備な自分になるのです。
そして、その無防備な状態で、幼少期に満たされなかった「もっと甘えたい」「ありのままの自分を愛してほしい」という気持ちが、不安や依存という形で溢れ出してしまう。これが、あなたの悩む「二面性」が生まれる心理的なメカニズムです。
「弱い自分」を隠さない勇気が、本当の安定をくれる
では、この苦しい二面性と、どう向き合っていけば良いのでしょうか。多くの方が「不安になる自分を消したい」と考えがちですが、実は解決策はその逆です。
低い自己肯定感が、弱さを見せること(自己開示)への恐怖を生みます。しかし、勇気を出して自己開示し、受け入れられる経験こそが、自己肯定感を育むための最も有効な解決策となるのです。
完璧な自分を演じ続けて、一人で疲弊し、関係を壊してしまう…。そんな「典型的な失敗・課題」から卒業するために、信頼できる相手に、少しだけ「弱い自分」を見せる勇気を持ってみましょう。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「こんな私でも、愛されるだろうか?」と試すのではなく、「こんな私だけど、受け入れてほしい」と伝えてみましょう。
なぜなら、「試し行動」は相手を疲れさせますが、誠実な「自己開示」は二人の絆を深めるからです。多くの人が、弱さを見せることを恐れますが、実は、完璧ではない部分を共有することから、本当の信頼関係は始まります。この小さな勇気が、あなたの恋愛を大きく変えるかもしれません。
自己開示の3ステップ
- まずは自分で「弱い自分」の存在を認める: 「不安になってもいい」「寂しいと感じる自分も、私の一部だ」と、まずはご自身でその感情を許可してあげましょう。これが全てのスタートです。
- 「事実+感情(Iメッセージ)」で伝える練習: 「連絡がない!(怒)」と相手を責めるのではなく、「連絡がないと、私は少し不安な気持ちになるんだ」というように、「私」を主語にして、事実と自分の感情をセットで伝える練習をします。
- 小さな弱みから話してみる: 最初からすべてをさらけ出す必要はありません。「実は方向音痴なんだ」「ホラー映画が苦手で…」といった、ささいな弱みからで大丈夫です。弱みを見せても相手が受け入れてくれた、という小さな成功体験を積み重ねていきましょう。
まとめ:自分を理解することから、新しい恋愛は始まる
この記事では、「しっかり者」のあなたの中に潜む「もう一人の自分」の正体と、その心の仕組み、そして、その自分と上手に付き合っていくための具体的な方法についてお話ししてきました。
最後に、大切なポイントをもう一度お伝えします。
- あなたの二面性は、あなたが社会で頑張ってきた証です。
- その正体は、「愛着スタイル」という心の仕組みで説明できます。決して、あなたの性格が悪いわけではありません。
- 解決の鍵は、弱い自分を消すことではなく、勇気を出して受け入れ、信頼できる相手に少しずつ伝えていく(自己開示)ことです。
「しっかり者のあなた」も「不安なあなた」も、どちらも大切なあなた自身です。そのすべてを、あなたは幸せにしてあげる力を持っています。
まずは、一番信頼できる人に「実は私、こんなことで不安になるんだ」と、この記事をきっかけに話してみませんか?それが、自分を解放する大きな一歩になります。
[参考文献リスト]
- Oggi.jp, 「隠れメンヘラとは? 特徴や見分け方、上手な付き合い方を解説」
- ananweb, 「【専門家監修】メンヘラとは?特徴や原因、なりやすい人の共通点」
- マイナビウーマン, 「自己肯定感が低い人の恋愛の特徴とは? 幸せな恋をする方法を専門家が解説」
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この記事を書いた人
[ヒロ]編集部
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この記事は、読者の皆様の心に深く寄り添いたいという思いから、臨床心理士の森川聡美先生に監修いただき、制作しました。
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