【心理学でわかる】ヤンデレ診断｜その独占欲、異常じゃないかも？原因と心の処方箋

この記事を書いた人

佐藤 ゆうか / 恋愛心理カウンセラー・公認心理師

愛着理論をベースとした恋愛・パートナーシップカウンセリングを専門とし、年間200件以上の相談実績を持つ。恋愛メディアでの連載や監修も多数。著書に「がんばりすぎるあなたのための恋愛処方箋」。クライアントの心に優しく寄り添い、具体的な行動変容をサポートするカウンセリングに定評がある。

「もしかして私、ヤンデレ…？」恋人を愛するあまり、ご自身の独占欲や嫉妬心に不安を感じていませんか？その気持ち、決してあなただけではありません。

実はその悩みの多くは、あなたの性格が悪いのではなく、心理学でいう「愛着スタイル」が関係しているかもしれません。

この記事では、よくある診断で終わるのではなく、なぜそう感じてしまうのかという心の仕組みを解き明かし、明日から試せる具体的なアクションまで示す「心の処方箋」をお渡しします。

読み終える頃には、自己嫌悪が自己理解に変わり、心穏やかに彼と向き合うヒントが見つかるはずです。

まずはあなたの心をチェック【15問のヤンデレ度診断】

はじめに、ご自身の心の状態を客観的に知るためのヒントとして、簡単な診断をやってみましょう。リラックスして、直感で「はい」「いいえ」「どちらともいえない」で答えてみてくださいね。

この診断は、あなたを断定するためのものではありません。ご自身をより深く理解するための、あくまで一つのきっかけとして捉えてください。

【ヤンデレ度診断】

〈行動と思考〉

1. 恋人のSNS（フォロー、いいね等）を頻繁にチェックしてしまう。
2. 恋人からの返信が少しでも遅いと、何をしているのか気になって仕方がない。
3. 恋人が自分以外の異性と楽しそうに話していると、強い不快感や嫉妬を感じる。
4. 恋人の過去の恋愛について、詳しく知りたくなり、知ると落ち込んでしまう。
5. 「もし自分がいなくなったら、この人は生きていけないだろう」と思うことがある。

〈感情〉

6. 恋人と一緒にいない時間は、常に不安や寂しさを感じる。
7. 恋人に「好き」と何度も確認しないと安心できない。
8. 恋人からの愛情が、自分だけに向いていないと許せない気持ちになる。
9. 恋人のためなら、自分の時間や友人を犠牲にしても構わないと思う。
10. 恋人に嫌われることを、世界の終わりのように感じてしまう。

〈関係性〉

11. 恋人のスケジュールは、すべて把握しておきたい。
12. 恋人には、自分だけを一番に考えていてほしい。
13. 恋人が自分に合わせてくれると、深く愛されていると感じる。
14. 恋人との間に、隠し事や秘密は一切あってはならないと思う。
15. 恋人とのケンカの後、相手を試すような行動をとってしまうことがある。

【結果の目安】

• 「はい」が0〜4個: ヤンデレ度 低
  あなたはパートナーを尊重し、健全な信頼関係を築けているようです。愛情と自立のバランスが取れています。
• 「はい」が5〜9個: ヤンデレ度 中
  恋人を深く愛するあまり、時々不安や嫉妬心に心を揺さぶられることがあるかもしれません。この記事の後半で、その気持ちの仕組みと対処法を一緒に見ていきましょう。
• 「はい」が10個以上: ヤンデレ度 高
  恋人を思う気持ちが非常に強く、その愛情がご自身を苦しめてしまっているかもしれません。でも、安心してください。その苦しさの原因を理解し、適切に対処することで、心は必ず軽くなります。これから、そのための具体的な方法をお伝えしますね。

なぜ？あなたの独占欲が強くなる本当の理由【心理学で解説】

診断をしてみて、ご自身の傾向が少し見えてきたかもしれませんね。「やっぱり私、ヤンデレ度が高いかも…」と落ち込んでしまった方も、どうか自分を責めないでください。

カウンセリングの現場で「彼を好きすぎるだけじゃダメなんですか？」というご質問をいただくことがあります。その言葉の裏には、「自分の愛情を否定されたくない」という切実な思いが隠れています。あなたの強い愛情は、決して悪いものではありません。

実は、その強い独占欲や嫉妬の感情は、多くの場合、「見捨てられ不安」という、さらに深いところにある感情が原因となっています。

そして、不安定な愛着スタイルが、「見捨てられるかもしれない」という強い不安感を生み出すことが、心理学の研究でわかっています。

「愛着スタイル」とは、幼少期の親子関係などを通じて形成される、対人関係の基本的なパターンのことです。

特に、親の関心が不安定だったり、十分な安心感を得られなかったりした場合に形成されやすい「不安型」の愛着スタイルを持つ人は、恋愛において相手を失うことへの強い恐怖、つまり見捨てられ不安を抱えやすくなります。

見捨てられたくないという不安が、相手をコントロールしようとする独占欲や、ライバルを排除しようとする嫉妬心に繋がるのです。

彼からの返信が遅いだけで胸がざわつくのは、あなたの性格が悪いからではなく、「嫌われたのかもしれない」「見捨てられるのかもしれない」という心の奥の警報が鳴り響いている状態なのです。

この心のメカニズムを理解することが、ご自身を責めるのではなく、ご自身をいたわるための第一歩になります。

もう不安に振り回されない。心を穏やかにする3つの処方箋

ご自身の心の仕組みが少し理解できたところで、ここからは、不安な気持ちと上手に付き合い、穏やかな心を取り戻すための具体的な「処方箋」を3つご紹介します。どれも、今日から始められることばかりですよ。

処方箋① 自分の気持ちを書き出す（ジャーナリング）

不安や嫉妬で心がもやもやした時、その感情を頭の中だけで処理しようとすると、同じ思考がぐるぐると巡ってしまいがちです。そんな時は、気持ちをノートに書き出してみましょう。これを心理学では「ジャーナリング」と言います。

【やり方】

1. 状況: 何があったか？（例：彼が会社の同僚と楽しそうにLINEしていた）
2. 感情: その時、どう感じたか？（例：不安、悲しい、イライラする）
3. 思考: 頭にどんな考えが浮かんだか？（例：「私のことより大事なんだ」「あの人のことが好きなのかも」）

ポイントは、うまく書こうとせず、ただ心に浮かんだ言葉をそのまま書き出すことです。自分の感情を客観的に見つめることで、冷静さを取り戻し、「ああ、私は”見捨てられる”と感じて不安だったんだな」と、本当の気持ちに気づくことができます。

処方箋② 「アイメッセージ」で伝え方を変える

不安な気持ちを彼に伝える時、つい相手を主語にして責めるような言い方になっていませんか？健全なコミュニケーションを築くためには、自分を主語にして気持ちを伝える「アイメッセージ」がとても有効です。アイメッセージは、健全なコミュニケーションを築くための具体的な手法の一つです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 相手を変えようとするのではなく、自分の「伝え方」を変えることに集中してみてください。

なぜなら、カウンセリングでよくある失敗パターンは、不安の根本原因を相手に求め、「彼が〇〇してくれれば、私は不安にならないのに」と考えてしまうことです。しかし、他人をコントロールすることはできません。自分の行動（この場合は伝え方）に焦点を当てることで、関係性の主導権を自分が握れるようになります。

気持ちが伝わる「アイメッセージ」実践法

Youメッセージが相手への「非難」に聞こえがちなのに対し、アイメッセージは自分の「状態」を伝える表現です。これにより、相手も防御的にならず、あなたの素直な気持ちを受け止めやすくなります。

処方箋③ 小さな成功体験で「自己肯定感」を育てる

強い独占欲の根底には、自分に自信がない、つまり自己肯定感の低さが隠れていることが少なくありません。自己肯定感が高まると、自分に自信が持てるため、過度な独占欲や嫉妬が和らぐという、逆相関の関係にあります。

恋愛以外の世界で、自分を認めてあげる習慣を作りましょう。

• 仕事で小さな目標を立ててクリアする
• 新しい趣味を始めてみる
• 作った料理の写真を撮って自分を褒める

どんな些細なことでも構いません。「私には、彼がいなくても価値がある」と思える瞬間を少しずつ増やすことで、心に余裕が生まれ、恋愛への過度な依存から抜け出すことができます。

よくあるご質問（FAQ）

Q. ヤンデレとメンヘラの違いは何ですか？

A. どちらも俗語で、明確な定義はありませんが、一般的にニュアンスが異なります。ヤンデレは「病み」と「デレ」を合わせた言葉で、愛情が強すぎるあまり、その愛情のベクトルが相手に向かい、独占や束縛といった行動に現れる傾向を指します。

一方、メンヘラは、心の不安定さから、そのベクトルが自分に向かい、自傷行為や過度な「かまってほしい」というアピールに現れる傾向を指すことが多いです。

Q. 診断結果が悪かったら、もう治らないのでしょうか？

A. そんなことは全くありません。今回の診断は、あくまで現時点でのあなたの心の傾向を示したものです。

大切なのは、その傾向に気づき、「変わりたい」と願うことです。この記事でご紹介したように、ご自身の心の仕組みを理解し、小さな行動を積み重ねていくことで、考え方や感じ方は必ず変えていくことができます。

Q. パートナーがヤンデレかもしれない場合はどうすればいいですか？

A. まずは、相手の行動の裏にある「不安」を理解しようと努めることが大切です。その上で、あなたが受け入れられることと、受け入れられないことの境界線（バウンダリー）を、アイメッセージを使って冷静に伝えましょう。

「あなたのことは大切だけど、スマホを見られるのは悲しい」というように、相手を否定せず、自分の気持ちを伝えることが重要です。

もしお二人での解決が難しい場合は、カップルカウンセリングのような専門家のサポートを頼るのも一つの有効な手段です。

まとめ

彼を深く愛する気持ちは、とても尊いものです。しかし、その愛情が「見捨てられ不安」と結びつく時、時にあなた自身を苦しめる「独占欲」や「嫉妬」に姿を変えることがあります。

大切なのは、そんな自分を責めるのではなく、その心の仕組みを正しく理解すること。そして、今日お伝えした3つの処方箋のように、具体的な行動を少しずつ試していくことです。

自分を責める必要はもうありません。今日、ご自身の心と真剣に向き合おうとしたあなたは、すでに未来を良くするための、とても大きな一歩を踏み出しています。

まずは一番簡単そうな「処方箋① 気持ちを書き出す」ことから、今夜試してみませんか？その小さな一歩が、あなたと彼との未来を、より穏やかで幸せなものへと大きく変えるはずです。

[参考文献リスト]

• ひろせ@心のカウンセリングルーム. “愛着障害は独占欲が強い？タイプ別の特徴を解説”.
• M&Pラボmedia. “プライベートを充実！夫婦間・パートナー間のコミュニケーション”.
• コスモポリタン. “「何であの子ばかり……許せない」苦しい嫉妬心への対処法とは【臨床心理士が解説】”.
• COBEYA. “カップルセラピーとは？効果や費用、相談内容について解説”.