「恋人に『重い』と言われてしまった…」「もしかして私、メンヘラなのかな…」と一人で悩んでいませんか?その苦しみ、そして自分を責めてしまう気持ち、とてもよくわかります。
この記事は、よくある診断テストであなたにレッテルを貼るものではありません。臨床心理士と共に、あなたの苦しみの本当の原因を心理学の視点から解き明かし、明日からできる具体的なセルフケアを見つけるためのものです。
この記事を読み終える頃には、自己否定のループから抜け出し、「私、変われるかもしれない」という希望を持てるはずです。

この記事の監修者
佐藤 恵(さとう めぐみ)
臨床心理士・公認心理師
都内大学の学生相談室で5年間カウンセラーとして勤務し、多くの若者の恋愛や対人関係の悩みに寄り添ってきました。恋愛における不安は、決して特別なものではありません。この記事が、あなたが自分を理解し、より楽になるための一助となれば幸いです。
目次
まず知ってほしいこと:「メンヘラ」は、あなたのせいじゃない
カウンセリングをしていると、「この性格はもう治らないですよね?」という、とても切実な質問を受けることがよくあります。
特に、恋愛で深く傷ついた経験を持つ方は、ご自身を「メンヘラ」という言葉で定義し、変わることのできない欠陥のように感じてしまっていることが多いのです。
しかし、私はまず、あなたに一番伝えたいことがあります。その苦しみは、あなたのせいではありません。
「メンヘラ」という言葉は、医学的な診断名ではなく、とても曖昧で、時に人を傷つけるレッテルとして使われがちです。
この言葉で自分を縛り付けてしまうと、「自分はダメなんだ」という自己否定の気持ちが強まり、ますます苦しくなってしまいます。
恋愛がうまくいかないことで悩んでいるのは、決してあなただけではありません。その苦しみの裏にある心の仕組みを正しく理解することが、自分を解放するための第一歩になるのです。
その不安の正体は?心理学でわかる「愛着スタイル」という心の仕組み
では、恋愛で感じる強い不安や、相手を束縛したくなるような行動の根本原因は何なのでしょうか。
心理学では、その背景に愛着スタイル(アタッチメント・スタイル)という、対人関係における無意識のパターンが影響していると考えられています。
愛着スタイルとは、主に幼少期に親との関係で築かれる「心の絆の結び方」のことで、大人になってからの恋愛関係に大きく影響します。
そして、俗に「メンヘラ」と呼ばれる行動の多くは、この愛着スタイルが不安定な形で表出したものである可能性が高いのです。
特に、相手に見捨てられることへの強い不安を感じる「不安型(とらわれ型)」の愛着スタイルを持つ人は、恋愛で苦しみやすい傾向があります。
この見捨てられ不安は、自己肯定感の低さと密接に関係しています。自己肯定感が低い状態だと、自分の価値を自分自身で認められず、常に相手からの愛情や承認によって自分の価値を確認しようとします。
この心の状態が、連絡がないだけで「嫌われたのかもしれない」という極度な不安、つまり見捨てられ不安を強くさせてしまうのです。
【15問でセルフチェック】あなたの心のパターンを知るためのメンタルケア診断
ここまでの説明で、ご自身の心のパターンについて少し見えてきたかもしれませんね。ここでは、あなたの現在の心の傾向を客観的に知るための簡単なセルフチェックを用意しました。
あまり深く考え込まず、「はい」「いいえ」「どちらともいえない」で直感的に答えてみてください。これは優劣を決めるテストではありませんから、リラックスして進めていきましょう。
【診断スタート】
- 恋人からの連絡が少しでも遅れると、悪い想像をしてしまう。
- 相手のSNSを頻繁にチェックしないと気が済まない。
- 「嫌われたくない」と思うあまり、自分の意見を我慢することが多い。
- 恋愛以外のことが手につかなくなるほど、相手のことで頭がいっぱいになる。
- 相手の愛情を試すような行動(試し行動)をとってしまうことがある。
- 自分には価値がないと感じ、恋人がいないと生きていけないように思う。
- 些細なことで、相手から見捨てられるのではないかと極度に不安になる。
- 恋人と会っていない時間は、常に寂しさを感じる。
- 相手に尽くしすぎる傾向がある。
- 感情の起伏が激しく、自分でコントロールできないと感じることがある。
- 恋人との関係が、自分の世界のすべてだと感じてしまう。
- 過去の恋愛でも、同じようなパターンで別れている。
- 一人でいることに強い苦痛を感じる。
- 相手の言葉や態度を、常に深読みしてしまう。
- 「重い」と言われたことがある、またはそう思う。
【診断結果】
- 「はい」が10個以上だったあなた:
あなたは今、恋愛において強い不安を感じやすい状態かもしれません。相手を思う気持ちが強いあまり、ご自身を追い詰めてしまっている可能性があります。でも、大丈夫です。そのエネルギーを少しだけ自分自身に向けることで、関係はもっと楽になります。ここからが、新しいパターンを学ぶスタートです。 - 「はい」が5〜9個だったあなた:
恋愛で不安を感じることは誰にでもありますが、あなたは特にその傾向が少し強いかもしれません。時々、相手との距離感に悩んだり、自分の感情に振り回されたりすることがあるのではないでしょうか。自分の心の癖を知ることで、不安と上手に付き合っていくことができます。 - 「はい」が4個以下だったあなた:
あなたは比較的、安定した心の状態で恋愛ができているようです。もちろん、時には不安になることもあるでしょう。もし悩むことがあれば、この記事で紹介するセルフケアは、あなたの心をさらに安定させるためのヒントになるはずです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 診断結果は「今のあなたの状態」を示すものであり、「あなたの全て」を定義するものではありません。
なぜなら、この種の診断で結果が悪かったからといって、「やっぱり自分はダメなんだ」と落ち込んでしまうのは、多くの人が陥りがちな罠だからです。
大切なのは、結果に一喜一憂することではなく、「自分にはこういう傾向があるんだな」と客観的に認識し、次の一歩を考えるきっかけにすることです。この知見が、あなたの自己理解の助けになれば幸いです。
診断結果が不安型だったあなたへ。明日からできる3つのセルフケア
診断結果を見て、少しドキッとした方もいるかもしれません。でも、ここからが最も大切なパートです。自分の心のパターンは、日々の少しの意識で変えていくことができます。ここでは、明日からすぐに始められる具体的なセルフケアを3つご紹介します。
1. 思考の癖に気づく練習(認知行動療法の初歩)
不安が強い時、私たちの頭の中は「認知の歪み」と呼ばれる、極端な思考パターンに陥りがちです。例えば、「LINEの返信がない=彼はもう私に興味がないんだ」と考えてしまうのは、「白黒思考(全か無か思考)」という代表的な歪みの一つです。
まずは、自分が不安になった時に、頭に浮かんだ考えを紙に書き出してみましょう。そして、「本当にそうなのかな?」「他の可能性はないかな?」と、少しだけ客観的に自分に問いかけてみるのです。
この練習は、認知行動療法の初歩的なアプローチであり、不安を増幅させる自動的な思考から距離を置く助けになります。
2. 小さな成功体験で自己肯定感を育む
恋愛への依存の背景には、自己肯定感の低さが隠れています。自己肯定感を高めるには、恋愛以外の世界で「自分で自分を認められる経験」を積むことがとても効果的です。
大それた目標でなくて構いません。
「今日は部屋の掃除を少しだけした」「読みたかった本を10ページ読んだ」など、どんなに小さなことでも良いので、できたことを自分で褒めてあげる習慣をつけましょう。
この小さな成功体験の積み重ねが、「私は私で大丈夫」という感覚を育ててくれます。
3. 不安を言葉にするジャーナリング
頭の中でぐるぐると回り続ける不安は、紙に書き出すだけで、驚くほど心が整理されることがあります。これをジャーナリングと呼びます。
誰かに見せるものではないので、綺麗に書く必要はありません。「寂しい」「むかつく」「どうしてわかってくれないの」といった、ドロドロした感情も全てそのまま書き出してみてください。
自分の感情を客観的に見つめることで、感情の波に飲み込まれにくくなります。
もし、一人で抱えきれないと感じたら
セルフケアを試しても、どうしても苦しさが続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、専門家を頼ることをためらわないでください。
恋愛における極端な感情の揺れや対人関係の不安定さは、境界性パーソナリティ障害(BPD)などの精神疾患の特性と関連している場合があります。
しかし、これらの診断は専門家による慎重な判断が必要であり、インターネットの情報だけで自己判断することは非常に危険です。境界性パーソナリティ障害と愛着スタイルの問題は重なる部分もありますが、同一ではありません。
一人で抱え込まずに相談できる場所は、たくさんあります。
- 大学の学生相談室: 在学中であれば、無料でカウンセリングを受けられることが多いです。
- 地域の精神保健福祉センター: 各自治体に設置されており、電話や面談で相談に乗ってくれます。
- オンラインカウンセリング: 自宅から気軽に、資格を持ったカウンセラーに相談できます。
- 心療内科・精神科: 専門的な診断や治療が必要な場合に、適切なサポートを受けられます。
専門家に相談することは、決して弱いことではありません。自分の心と向き合うための、とても勇気ある一歩です。
まとめ:あなたの「変わりたい」気持ちが、一番の力です
この記事では、恋愛の苦しみの背景にある心理的な仕組みと、そこから抜け出すための具体的な方法についてお話してきました。
大切なことなので繰り返しますが、あなたの苦しみは「性格が悪い」からではなく、過去の経験から身につけた「心のパターン」によるものです。そして、そのパターンは、あなた自身の力で変えていくことができます。
自分を理解しようと、今日この記事をここまで読んでくださったあなたは、もう昨日とは違います。焦る必要はありません。ご自身のペースで、今日紹介したセルフケアの中から、一番できそうなものを一つだけ、試してみませんか?
この記事をブックマークして、辛くなったらいつでも読みに来てください。あなたのことを、心から応援しています。
[参考文献リスト]
– 厚生労働省 e-ヘルスネット. (参照 2025-11-27).
– 国立精神・神経医療研究センター. (参照 2025-11-27).
– 濱田 裕子. (2023). 大学生の恋愛観と愛着スタイルの関連. 甲南女子大学研究紀要, 60, 1-10.
[著者情報]
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